研究概要 |
内径3mmの反応器内に容量結合性プラズマを形成しSiCl_4をCH_4で還元することで,炭化水素基で終端された化学的に安定な青色発光(450nm)するシリコン量子ドットの合成に成功した。さらに,生産性の向上を目的として原料ガスの高濃度化を試みた。主な実験条件は次のとおりである:石英管内径, 3mm;全圧, 3kPa;電力, 50W(144MHz);全流量, 100cm^3min^<-1>;キャリアガス, He; SiCl_4, 1000ppm; CH_4, 2%。生成物はバイアルの中に直接デポジッションし,トルエンを添加してコロイド溶液として取り扱う。コロイド溶液は青色発光(470nm)を示し励起波長が長くなるに伴いPLスペクトルは長波長にシフトした。ATR-FTIRによる赤外吸収スペクトルから, C〓C(2226cm^<-1>), C-CH_2(2930cm^<-l>), 〓CH(3050cm^<-1>)など炭化水素基に起因する吸収が確認できた。これらのピークは12時間,大気中で自然酸化させてもほとんど変化しなかった。一方,シリコン酸化物(O-Si-O)のピークは増大し, 1400cm^<-1>付近のC-CHに起因した吸収は消滅した。また, SiCに起因したブロードな吸収が780-800cm^<-1>付近に観察されなかったため, CH_4のフラグメントが効果的にシリコン量子ドットを終端していることが考えられる。透過型電子顕微鏡では約2nmのナノ結晶も同定できており, PLスペクトルから粒子サイズに対応したシリコンの量子サイズ効果による発光を確認した。
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