研究概要 |
2008年度に構築した酸素拡散係数測定システムによる含水状態における単層の微細多孔質体の酸素拡散係数の高精度測定および新形式GDLモデルの機能測定を実施した.すなわち,昨年度構築のガルバニ電池式酸素センサーを酸素吸収体として用いる酸素拡散係数測定装置を利用して,単層のGDL多孔体における,乾燥状態から含水状態を含む含水率をパラメータとする条件下の酸素拡散係数測定を引き続き実施し,電解液変化による安定性,系の温度依存性,酸素拡散流束およびホルダ側濃度の影響など,全般的な測定確度に係わる詳細要因の影響を検討し,測定精度の向上を図った.また,実験系が2次元分布となることから、そのための数値解析を利用する酸素拡散係数データ処理方法を開発し,GDL単体のみかけの酸素拡散係数の高精度測定を実施した.つぎに,高出力時のフラッディング限界を高めること,および乾燥領域での適正な湿分の維持を図る目的で考案し,昨年度作成・試験を開始した,撥水性多孔体の材質としてPTFE繊維からなるシートを,親水性多孔体として炭素製多孔質層を分布させることによる,ぬれ性分布構造を利用する新形式GDL構造の機能を,上記の酸素拡散係数測定装置を用いて,酸素拡散特性の高精度測定を実施するとともに,その機能特性について明らかにした.すなわちその結果として,新形式GDLが比較的高い液水飽和度においても,極めて良好な酸素拡散特性を示すことを示した。また別に,多孔体内の液水分布の可視化結果との比較検討を実施することにより,新形式GDLの酸素拡散特性と液水分布との関係を考察した.
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