研究概要 |
本研究では,27MHzの高周波,2.45GHzのマイクロ波を使った針電極からの液中放電実験を施し,プラズマ内部の基本特性と調べた.装置内圧力10kpa〜大気圧,出力10W〜440Wの範囲内で実験を行った.まず,プラズマ発生直後の様子を高速度カメラで観察を実施した.その結果,プラズマや気泡が大きく成長し,プラズマや気泡の変化の周期は長くなること,また,容器内圧力が小さいほど気泡の膨張が起こる周が長くなることが明らかになった.気泡内部の圧力はプラズマ発生直後に急激に上昇し,その後,圧力が低下し容器内圧力になる,このときの気泡内部の圧力の最大値は300〜1000hpaとなる.温度分布は投入電力により変化するが,測定される最も高い温度は投入電力に関わらず,容器内圧力での飽和温度に近い温度であることが,熱電対を用いたプラズマ周辺の温度測定から明らかになった.次に,プラズマの放電特性を調べる目的で,27.12MHzの高周波電源を用いて液中および気相中でプラズマを発生させ,プラズマ発生前後の電流-電圧波形をオシロスコープで測定した。液中プラズマは,気泡中でプラズマが発生しているので,気泡内ではコンデンサと抵抗の並列回路,液体の部分では,純水が誘電体の役割を果たしたコンデンサからなり,これらが直列につながった等価回路であると仮定すると,電流電圧波形を定性的に説明できる.最後に,水の流れの中の液中プラズマの分光測定を行い,電子温度,OH温度を求め,流れと圧力による影響を調べた,液中プラズマの電子温度やOH温度は流れによる影響をほとんどうけないことが明らかになった.系圧力の増加につれて電子温度は減少し,OH温度は増加する.これは従来の気相プラズマと同様の傾向である.
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