食品の冷凍操作の前にマイクロ波による常温乾燥を行うことにより、氷晶の成長を抑えて冷凍保存の高品位化を可能とするとともに、冷却エネルギーの低減を図る新しい技術を開発している。この新規技術は従来に無いものであり、本研究によって「マイクロ波デハイドロフリージング」と命名している。 これまでに魚肉を対象とした実験研究を行っており、予備脱水量が5%程度の範囲内であれば脱水による品質劣化を招くことなくその後の冷凍が可能となり、形成される氷晶の観察から組織の圧迫による機械的損傷が低減できることを示した。さらに、解凍速度の影響も大きく、一般に好ましいといわれている急速解凍よりも、組織細胞が水分を再吸収するに十分な時間が取れる緩慢解凍の方が良いという結果を得た。ただし、魚種による違いも無視できないことがわかり、さばにおいては緩慢解凍がよいものの、鯛においては有意な差が見られなかった。この点は今後明確にする必要があると考えている。 一方、根菜類に対しては、水分含有量が多いことから、予備脱水量を10~30%程度に高める必要があることがわかった。 さらに、組織細胞と外部溶液との物質伝達を考慮した数値シミュレーションモデルを作成し、凍結過程における氷晶形成(凝固)過程を対象とした予備的解析を行った。その結果、予備脱水量とともに凍結時間が短くなり、最大氷晶生成帯を通過する時間が短くなるという実験結果と同様の結果を得ることができた。また、内部水分分布と塩分濃度との関連も把握することが可能となり、今後、より詳細な検討が期待されると判断した。
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