研究概要 |
ライデンフロスト温度以上の高温面を液体(水あるいはアルコール)で急冷するときの冷却特性を固液の連成問題という視点から再構築することを目的とした研究で,20年度は,冷却液としてアルコールでも実験できるように,さらに冷却方式としてミストおよび噴流を用いて実験も可能なように装置の改修を行った.実験は,固体側の熱物性として,3種類(銅,黄銅,炭素鋼),液側の熱物性として水とアルコールを用いて高温面の急速冷却を行なった.高温面の温度範囲は,300〜550℃とした.冷却液のサブクール度は,20〜60Kで,ミストの質量流束は,20〜50kg/(m^2s),噴流速度は2〜15m/sとした. 急冷開始温度が,液体の熱物性によってどの程度異なるのかを過熱限界温度に注目した検討を行ない,安定な固液の濡れ開始温度が,過熱限界温度近傍で生じることを測定結果との比較から明らかにした.また,濡れ開始後の固液接触面での表面温度と熱流束の変化を測定した. 高温面に接触した瞬間の自発核生成について,モデルを提案した.モデルを基に,数値解析を行い,固液接触開始直後の数マイクロセカンド以内の熱境界層の厚さ(数十ナノの厚さ)におけるエネルギーの変化と固体からの熱輸送量,更には分子運動論から決定される熱輸送限界と比較検討を行った.モデルの検証を行うためには,自発核生成が生じる時間とそこでの固体面から液体への熱輸送量について詳細に検討する必要があることが分かった.
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