研究概要 |
本研究は, MEMS技術を応用した微小カロリメータをSEMやEDXS分析と複合化し,微小試料に対する超高速,高感度熱分析を行う格段に分析能力の優れた複合ナノ熱分析システムの開発を目標としている.平成20年度には, MEMS技術で製作した500ミクロン長,温度走査用ヒータ,温度計測用熱電対,熱流検出用サーモパイル,補償加熱用ヒータを持つ熱分析デバイスを用い,微小試料を載せたデバイスの共振周波数を自動的に検出し,試料の質量を同定する共振質量計測システムを構築した.質量計測システムはナノグラムの分解能を持ち,数マイクログラムの試料の質量計測ができることが分った.また,小型走査電子顕微鏡(SEM)を導入し,ナノグラム質量計測と高速熱分析機能を持つカロリメータデバイスをSEM内へ設置する準備研究とし,システムのコンパクト化を行い,真空容器内での質量計測,デバイスの熱応答計測を実施した.上記カロリメータでは,空気により付加質量として70ng程度があり,熱コンダクタンスは真空環境に比べ約3倍となっていることなど,不明であったデバイス周囲の空気の影響を評価可能とした.
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