研究概要 |
キー技術であるセンサ関連では,患者の歩容を乱さない柔軟な6軸床反力センサと,誤差が小さく外乱の影響も受けない姿勢センサを新たに開発し,医療分野で十分通用するウエアラブルなセンサシステムに仕上げるとともに,個人の身体各部の質量の推定技術を新しく開発し,センサ出力から算出する関節モーメントの精度の大幅向上を目指しており,今年度は以下のことを実施した. ノイズに強く安価で誤差が小さい下肢の3次元姿勢センサシステムの開発として,2組の3軸加速度計を1つの剛体に組み込み,動的な加速度と重力による加速度の分離計算式,座標変換を用いる方法の,計算アルゴリズムを作成するとともに,電子回路・信号処理プログラムの作成およびセンサの試作を行った.数値シミュレーションにより,提案する方法の妥当性を検討した結果,比較的単純な機構では,2次元,3次元のいずれの場合でも誤差の原因となる積分を用いずに良好な結果が得られることがわかった. 履き心地のよい履物に内蔵した6軸床反カセンサ(タイプ1)の開発として,パラレル型のカセンサのコンパト化およびそれを複数内蔵した履物型の床反力センサを試作し,電子回路・信号処理部分,データの集積方法の検討を行った.試作したウエアラブルなセンサを用いて床反力を計測し,従来法である設置式の床反力計のよる実験結果と比較検討した結果良好な精度が得られた.また,精度を確保する上では,床反力だけでなく,姿勢もあわせて計測する必要があることがわかった.
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