研究概要 |
本研究は,極低温の極限環境を利用して,卵細胞などの単一細胞を凍結状態で操作(顕微授精,核移植操作などにおいて,マイクロドリル等を用いて機械加工で細胞への穴開けを行う)や低温環境中でのハンドリングなどを可能にする極低温細胞操作システムの開発を目的としている. 平成22年度および2カ月延長期間において下記の研究開発を行い下記に示す知見を得た. 1.平成21年度に製作した凍結細胞操作装置(凍結試料の操作が可能なマイクロマニピュレータでスライス画像の取得も可能な装置の開発)を用いて,下記の実験を行った. (1).生体試料を凍結細胞操作装置上で凍結した後,試料をスライスしてその断面画像を取得して,PC上で3D画像を構築した. (2).生体試料を凍結細胞操作装置上で凍結した後,マイクロドリル等を用いて,微細な穴開け加工を行った.最小径30ミクロンの穴開けに成功した. (3).マウス卵細胞を凍結細胞操作装置上で凍結した後,マイクロドリル等を用いて,微細な穴開け加工を試みた.魚卵等の生体試料同様,マイクロドリルによる穴開けに成功した. なお,大震災で実験装置が破損して修復に時間がかかり当初予定した実験が行えなかった. 2.生体試料(稚魚)への穿孔に関する実験を行った. (1).本研究において試作した穿孔装置を用いてフグの稚魚へインジェクションの実験を行った.先年度に引き続き,駆動印加電圧パターンの工夫,衝撃力の制御などで,マイクロピペットの稚魚腹腔への挿入効率の向上を試みる実験を行った.手動型(機械式,油圧式)に比べて高い成功率を得た.
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