剛直な主鎖骨格に光応答性部位である、アゾベンゼンを導入したポリアミド酸ゲルあるいはポリイミドゲルを合成した。ジメチルフォルムアミド(DMF)中で膨潤している直径200ミクロンのロッド状ゲルに440nmのブルーレーザーを照射すると、光異性化が起きて、光を吸収した表面のみがアゾベンゼンの光異性化により体積収縮を起こすため、ゲルは光照射方向へ直角に曲がった。 この時、ゲルの網目サイズは2.3nmから0.8nmへ変化することが走査型顕微動的光散乱測定により明らかになった。また、レオメーターによる拈弾性測定により、光照射前のゲルの弾性率は37kPaであるが、光照射後は80kPaになることが明らかになった。これはゲル中に存在する潜在的なエンタングルメントが、光照射による主鎖の屈曲により顕在化したためであることが、ゴム弾性理論より明らかになった。また、このゲルの合成時に生じる網目構造はインターペネトレーティングネットワークを形成し、マクロな不均一性を有していないことが分子動力学法による解析で明らかになった。 このゲルの光照射時に発生する力をガラスキャピラリーで測定した所、nN程度の値であることが明らかになった。 このロッド状ゲルをスライスし、マイクロ流路中に固定した。流路をDMFで満たし、440nmの光をゲルに照射すると、ゲルは縮みマイクロ流路中に溶媒が送出された、一方532nmの光を照射すると、ゲルは膨潤し、マイクロ流路から溶媒を吸入した。
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