研究課題
剛直な主鎖骨格に光応答性部位である、アゾベンゼンを導入したポリアミド酸ゲルおよび柔軟な主鎖骨格にアゾベンゼンを導入したポリアミド酸ゲルを合成した。モノマーの反応率は剛直性ゲルが85%、柔軟性ゲルが75%程度であった。この反応率の差から生じる有効ネットワークの割合を求めると、前者が75%であるのに対して、後者は30%しかなかった。この両者のゲルをロッド上に加工し、大気中で442nmの光を照射すると、剛直鎖ゲルは光照射方向に屈曲するのに対して、柔軟鎖ゲルは光応答性を示さなかった。このロッドをさらにスライスして顕微鏡下で可視光を照射して観察した。この際にゲルに青色レーザーを照射すると、ゲルが収縮し、青色レーザーを切ると、膨潤した。この青色レーザーのOn、Offを繰り返すとゲルが拍動し、その中に含まれている溶媒をはき出し、ポンプとして機能することが明らかになった。このロッド状ゲルをスライスし、マイクロ流路中に固定した。流路をDMFで満たし、440nmの光をゲルに照射すると、ゲルは縮みマイクロ流路中に溶媒が送出された、一方532nmの光を照射すると、ゲルは膨潤し、マイクロ流路から溶媒を吸入した。光照射の際の高分子ゲルからの溶媒の送出量は3官能性のゲルよりも4官能性の方が20%程度多かった。また、4官能性架橋剤の応答速度は3官能性の架橋剤の1/3になった。以上の3官能性の架橋剤ではインターペネトレートネットワークを形成するのに対して、4官能性の架橋剤では、ダイヤモンド構造状の規則正しい網目構造を有し、有効ネットワークの割合が倍以上であったことに起因している。
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