本研究では、自らホースのようなトンネル体を構築しながらその内部を移動することにより、劣悪な凹凸狭隘空間内部でも迅速な探査作業を行える移動ロボットを検討した。その最大の特徴は、1)外部の凹凸移動面と全く摺動せずにトンネルを構築でき、なおかつ、2)外部環境条件に左右されることなくトンネル内を移動できる点にある。考案したロボットは、長いチャック構造を有する帯状シート、円筒体、円筒体内部に装備する無限回転型アクチュエータから構成されている。回転型アクチュエータがファスナーを円筒体外周上で円運動させることにより、チャックが連結されながら螺旋形状のトンネルを形成する。同時、円筒体もトンネル内を螺旋のピッチ分だけ移動する。さらに、帯の幅を変えることにより、湾曲したトンネルを構築することも可能となる。災害現場での劣悪狭隘な瓦礫内探査と延命作業への応用を想定し、試作機の瓦礫環境における動作実験を行い、上記に提案した設計手法の有効性を検証した。試作機によるトンネル構築式移動実験を行い、移動面と摺動することなく前進後退動作を行えることを確認した。先頭に取り付けた有線カメラにより探査を行うことも可能となった。また150mm程度の隙間ならば乗り越えてトンネルを形成することができた。 さらに、液状樹脂を温度制御して固める手法を用いて方向操舵として優れた特性を生成できることが確認できた。
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