本研究では、自らホースのようなトンネル体を構築しながらその内部を移動することにより、劣悪な凹凸狭隘空間内部でも迅速な探査作業を行える移動ロボットを検討した。その実現方法として、複数対向して配置したチューブを繰り出しながら推進し、チューブ内の圧力差を利用して湾曲する方法と1本のチューブを繰り出しながら推進し、チューブ両側の長さに差を設けることにより湾曲する方法の2通りの方法について検討および実験を行った。 その結果、後者の方法を利用することにより、推進経路が1通りしかないような3次元的に湾曲した狭隘管路内で管路の形状に合わせて受動的に湾曲しながら管路内奥まで侵入していくことが確認できた。また、あらかじめチューブの周囲の拘束を一部分だけなくしておくことで、その個所を起点にチューブが能動的に湾曲することが確認できた。この結果から、複数の選択肢のある推進経路において操縦者が推進方向を選択的に決定することができるという可能性を示すことができた。 また、任意の箇所でチューブを湾曲させる方法として、水溶性フィルムと熱可塑性樹脂の2つの素材について検討した。実験の結果、どちらの素材を利用しても任意の箇所で湾曲させることが可能であることが確認できたが、湾曲までの応答が速く、可逆的な利用の可能性のある熱可塑性樹脂を用いることとし、熱可塑性樹脂で覆われたチューブの繰り出し湾曲実験を行った。その結果、熱可塑性樹脂の固さにより繰り出しは困難であったが、任意の貨車での湾曲は実現することができた。また、垂直方向にヘッドユニットを持ち上げながら湾曲したことから、湾曲する際のチューブの剛性およびチューブが出力する力は十分なものであることを確認した。
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