研究概要 |
内部加工を行う際に,フェムト秒レーザーによって改質された部分が選択的にエッチングされるメカニズムに関して,「フェムト秒レーザー照射による改質時の走査方向」がエッチングレートに影響するという想定しがたい現象についての研究を,前年度引き続き進めた。従来の研究では見られない八方向走査での改質を行い,エッチングレートを比較した。その結果,上記の現象が存在することが確実となった。また,この現象が現れるかどうかを,レーザー照射条件(パワー,照射点の間隔)で比較するところ,照射点の間隔が重要なパラメータであることが観察された。また,八方向走査でのエッチングレートを比較するには,偏光を等方的に,すなわち円偏光にする必要がある。この際,レーザー顕微鏡の焦点において円偏光を得る際にはダイクロイックミラーにおけるs偏光とp偏光の位相差を補償することが必要であることに気づき,その合理的な手順を考案した。 レーザー光による回転に関して,特異な偏光特性(軸対称偏光)を持つレーザービームを利用して高トルクを得る研究に取り組んだ。この場合にも上記のダイクロイックミラーの問題が生じるが,これを回避することができるように設計された専用のダイクロイックミラーを購入し,実験に用いた。実験の結果,軸対称偏光を利用することで回転の状況が変化することが観察された。また,この研究の過程で,軸対称偏光を持つレーザービームや光学素子を表現し,計算する新たな方法を考案し,論文を発表した。
|