本研究の目的は捩りワイヤを使う新しい駆動方式を用いて、複雑な切替え機構を必要としない動的なロボットの歩行を実現することである。平成21年度には平面内の受動動的2足歩行のシミュレーションを行い、歩行の安定化のための制御手法を考案した。本制御手法では腰関節の回転角度及び回転速度を表す位相平面上の軌跡を導入し、基準となる楕円の軌跡に対する誤差を評価した。腰関節の駆動トルクは位相軌跡の誤差をパラメータにして制御を行う。位相軌跡は腰関節の速度及び角度の変化を総合的に捉えるので、腰関節の歩幅または回転速度が低下するときに、一つのパラメータを用いて考案の制御手法で必要なときだけに腰関節に駆動トルクを加えることができた。これによって、簡単な制御手法で少ない消費エネルギーの供給で歩行の継続が実現できた。また、歩行の安定性を改善するためには支持脚の膝をロックする機能も搭載した。結果としては緩やかな下り坂で歩行の継続は実現できたが、平地や緩やかな上り坂においては脚機構のみの腰に駆動トルクを加えることでは継続的な歩行のために必要な十分なエネルギーの供給ができないことがわかった。今後の研究では足首の蹴り上げ動作や上半身の追加及びその傾き制御の必要性に関して研究を行う必要がある。また、21年度には2足歩行用の小型実験装置を製作し、脚に内蔵可能な小型DCモータコントローラを試作した。今後はシミュレーション結果を実験的にも検証する予定である。
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