メカトロニクスやエレクトロニクス、再生医療などの分野で、デジタルオンデマンドで2次元、3次元の微細構造を創成する技術に対する大きなニーズがある。このような要請にこたえるために、本研究では、これまでの科研費研究等で培ってきた画像形成やマイクロ工学に関する技術を、下記のような技術に応用するための基礎的な研究を行った。 0.静電インクジェット現象の解明:個別研究に先立って、まず静電インクジェット現象そのものの学理を明らかにする研究を行った。実験装置を製作し、ノズル形状、ギャップ、パルス電圧、ペースト粘度・導電性など多岐に渡るパラメータと滴下する液滴の関係を網羅的に把握した。また、観測された現象を理論的に明らかにするために、現象を静電場との連成問題ととらえた解析を行った。 1.マスクレスの電子回路直接描写:実験装置にステージ微動制御装置などを追設し、基板への導電性ペーストの滴下実験を行った。パルス電圧により、ドットの作成が制御できる条件を把握した。 2.マイクロ成膜:上記と同じ装置により、噴霧実験を行った。上記と同様にパラメータは多岐に渡るが、液剤の導電率に対する噴霧特性を把握した。 3.3次元マイクロラピッドプロトタイピング:上記と同じ装置により、ナノ粒子を含有した液の層形成実験を行った。 4.再生医療用3次元生体組織創成:当研究室で培ってきた電子写真の磁性現像系における磁性粒子ハンドリング技術を再生医療用3次元生体組織創成に利用するために、アルギン酸によって合成したマイクロカプセルに磁性ナノ粒子を封入したゲルビーズを対象に、パターン形成に関する技術を開発した。
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