1)サイクロトロン用Y系コイルの仮設計 サイクロトロン用Y系コイルシステムの仮設計として、290、350、400MeVの3種類のエネルギーレベルの等時性磁場を発生するコイルシステムの仮設計を行った。 2)Y系線材等の材料特性評価実験 Y系超伝導線材ならびにコイル構成材料(含浸材、絶縁材等)について、ガンマ線、中性子、陽子線、炭素線等の医療に用いる放射線に対する耐放射線性は明らかになっていない。そこで本年度は以下を実施した。 a)高温超電導線材(Bi2223およびYBCO線材)の常温での中性子照射実験を行い、照射前後の液体窒素中の超電導特性を調べた。照射を1時間(2Gy)行った結果、Bi2223線材の場合は照射後のlcは照射前に比べ、140Aから120Aに低下した。一方、YBCO線材の場合は照射前後のlcはそれぞれ96.4Aと96.9Aで劣化は確認されなかった。 b)照射後のガンマ線スペクトルを測定した結果、Bi2223線材から110Agが観測された。これは安定化銀が放射化し、生成されたものと考えられる。YBCO線材からは基板のNiWから57Co、58Co、65Ni、185Wが、安定化層の銀から110Agと187Wが、銅から65Niが生成されたと考えられる。 c)運転温度下、通電状態で放射線を照射し、中性子照射前後の超電導特性を調べることのできる「照射実験用真空断熱容器」を設計・製作した。 3)Y系コイルシステムの特性評価・設計用計算機シミュレータの開発 有限要素-境界要素併用法および高速多重極法を組み合わせた、超電導特性を考慮可能な大規模3次元電磁場解析手法とそれに基づく計算機プログラムを開発した。
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