研究概要 |
本年度は,IEC規格の500mm幅試料用の大形単板磁気特性試験器(SST)において,測定精度低下の主要因と考えられる反磁界に影響を与えるヨーク端面の平坦度を向上させるために再研磨を実施し,100mm幅試料用の小形SSTと比較することにより,測定精度を検討した.実施内容および得られた成果の概要は,以下に示すとおりである. 1.ヨーク端面と試料との接触状態の再評価 ヨーク端面の平坦度を改善するために機械的および化学研磨を実施し,圧力紙を用いて再度検討を行った結果,従来から使用している100mm幅試料用SSTと同様に,ヨーク端面のほぼ全面が試料と接触していることが確認された. 2.500mm幅試料用SSTと100mm幅試料用SSTで得られる磁気特性の再比較 両SSTで測定可能な100mm(幅)×500mm(長さ)を用い,使用するHコイルおよびBコイルも共通にして,それらを励磁枠の中央部に配置し,磁気特性(磁化特性および鉄損特性)の比較検討を行った.その結果,全磁束密度領域において,両者の差異が±3%程度であった.一般的には,同一の試料を同一の試験器で評価する際,試料を脱着する場合は±3%以内であることが目標とされており,両SSTの差異は,許容範囲内に納まった.したがって,再研磨によりヨーク端面の平坦度は改善され,励磁枠中央部付近における磁界分布に,反磁界の影響は見受けられないとの結論に至った.
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