研究課題/領域番号 |
20360140
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 勇介 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90252618)
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研究分担者 |
北岡 康夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70444560)
川村 史朗 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任研究員 (80448092)
今出 完 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任研究員 (40457007)
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キーワード | GaN / Naフラックス法 / LPE / 対流シミュレーション |
研究概要 |
4インチ対応の大型育成装置の開発に向けて、フルーエント(Ansys社製)を用いた数値解析と、実験の両面から溶液撹拌の効果を検証した。小型マッフル炉(坩堝サイズ:φ19mm)系で数値解析を行ったところ、種基板を垂直配置する従来の設置法と比較して、約70度に傾斜させた配置では、種基板面内に均一な流れが誘起されることが予測された。解析結果をもとに、傾斜配置でGaN LPE成長を行ったところ、垂直配置と比較して結晶表面の凹凸が解消され成長速度が約1.3倍に増加した。2インチ径GaN結晶成長が可能な大型炉(坩堝サイズ:φ65mm)においても、炉全体を機械的に揺動させることで種基板表面での溶液の流速が約30倍に増加することが数値解析より示された。機械揺動を導入して2インチGaN結晶を育成したところ表面平坦性が著しく向上した。以上の結果から、対流速度が速いほど溶液中の窒素濃度分布が均一化し、成長速度・平坦性が向上するという重要な知見を得た。以上の理論的・実験的検証をもとに、4インチ径GaN結晶成長が可能な多分割マルチヒーター2軸揺動機構付大型炉を開発した。新型炉では、多分割マルチヒーターによる厳密な熱対流速度制御と2軸揺動機構による強力な撹拌効果が期待できる。 無歪GaN単結晶成長に向けて種結晶を検討した。自然核GaN単結晶(φ2mm、黒色、Naフラックス法製)を種結晶として用いた結果、種結晶の高い結晶性((10-11)X線半値幅:51秒)をほぼ保ったままφ8.3mmへと大型化するものの、不純物に起因する結晶の着色は抑制されなかった。一方、不純物濃度の低い透明LPE厚膜結晶(13x10mm、Naフラックス法作製)を種結晶として用いたところ、透明なLPE-GaN単結晶が得られ、転位密度も種結晶より一桁減少することが明らかとなった。以上の結果より、無歪GaN単結晶成長には、結晶中不純物濃度の低い高品質GaN種結晶を用いることが重要である。
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