研究概要 |
本研究の目的は,申請者の開発したナノ微粒子支援レーザ堆積法(NAPLD)を用いてpn接合を持つZnOナノワイヤを合成し、その光および電気特性を明らかにして、ZnOナノワイヤを用いた紫外発光素子開発の基礎を確立することである。 昨年度は,前年までに作製したNAPLD装置を用いて,さまざまな条件で主にp型ドーパントとして燐を含むZnOナノワイヤの作製を行い,燐がドープされたZnOナノワイヤの光特性を中心に詳細な評価を行った.その結果、燐のドープによりバンド端遷移の蛍光寿命が、燐をドープしない場合の約110psから、2%の燐のドープにより約180psに延びることを確認し、n型特性の起源になる欠陥準位が燐のドープにより補償されていることを確認した。 また、ZnOナノワイヤの電気特性を評価するため、既存のn型ZnO薄膜やp型GaN膜とのヘテロ接合を作製し、その整流特性を評価した。その結果、燐をドープしたZnOナノワイヤは依然n型電導を示して居り、n型欠陥を十分補償しきれていないことが分かった。また、p型GaNとn型ZnOナノワイヤによるヘテロ接合を作製し、順方向電流励起によるZnOのバンド端遷移に起因する紫外発光を確認した。 複数のターゲットが切り替えられるNAPLD装置を用いて、ドープしていないZnOターゲットと燐をドープしたZnOターゲットを用いて、バッファ層を制御してZnOナノワイヤの成長密度を制御することに成功した。
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