研究課題
昨年度までの研究より、ダイヤモンドショットキーダイオードの特性改善には、表面処理を含めたダイオード作製プロセスの最適化、また最大電圧が印加されるp型ダイヤモンド層におけるアクセプター濃度の低減が鍵であることが分かってきた。本年度は、これらの知見に基づいて新たにショットキーダイオードを作製し、ダイオード特性の向上を図る事を試みた。また同時に、上記要因を抑制しても存在する、より本質的なダイオード漏れ電流の輸送機構について調べた。その結果、以下の事を見出した。(1)金属/ダイヤモンド界面に形成されるショットキー障壁高さ(SBH)は不均一であり、漏れ電流量は局在化した低いSBH領域を優先的に流れる。この不均一性は、ダイオード作製方法によりある程度低減する事が出来る。印加電界が1MV/cm以下では、この低SBH領域における漏れ電流が支配的となる。この不均一SBH形成は、ダイヤモンドの低誘電率に起因していると考えられる。(2)印加電界が1MV/cm以上では、電極端部での電界集中による熱電子・電界放出機構が支配的となる。(3)基板から結晶成長方向に伝搬する転位は、オーム性電流の要因となる。この種の転位は特徴的な構造を持ち、発光測定による非破壊評価が可能である。(4)250℃以上に昇温すると、漏れ電流が増加した。これは、界面終端構造の変性に伴う新たな低障壁領域の形成によるものと考えられる。特に(3)については、結晶成長方向と電圧印加方向が異なる、縦型および横型ショットキーダイオードを作製する事により明らかにした。逆方向印加電界が同じであっても縦型構造では逆方向電流が急増する電極がいくつか見られるのに対して、横型構造ではオーム性を示す電極は存在しなかった。実用上は電力損失低減の観点から縦型構造が適切であるため、上記結晶欠陥の少ないダイヤモンド結晶成長技術の確立が不可欠であると結論される。
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