CRLH線路の右手容量にバラクタを導入し、同線路上の波動伝搬特性が非線形シュレディンガー方程式によって記述されることを示した。これにより、従来、狭帯域応用に限定されていた左手系波動をパルス応用に拡大する基盤を構築することができた。また、2次元系に議論を展開し、2次元的な空間的孤立波の生成と制御法を新たに考案した。2次元線路においては、非線形性と分散性の釣合いが図られないために、厳密なソリトン解は与えられないが、ショットキー・バラクタによる非線形性は、制限されたバイアス領域でのみ有効であるため、空間的局在を有限時間保ちつつ伝搬することが予想される。以上の事実について数値的検証を行い、整合的帰結を得ることができた。一次元線路についての動作実証が目的である。数理的検討による設計指針をもとに実践的設計を開始した。一次元線路は一層PCBによる実現が可能である。搬送波周波数は>1GHz程度に設定し、非線形CRLH線路の物理的構造を設計・試作を行った。一方、PSPICE上でのモデル化を推進した。寄生効果をPSPICEに取り入れる形で検証を継続し、第二四半期末までに試作品種を確定した。評価を進め、設計と整合的な帰結を得るに至った。
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