平成21年度の本格的なディスプレイシステムの実現に向けて、平成20年度は小規模システムによる表示原理の検証と立体像表示用基本プログラムを開発した。以下の点について研究を行った。 (1)小規模システムによる表示原理の確認 (1) レンチキュラディスプレイの設計・試作 ハイブリッド構成の要素ディスプレイとなるレンチキュラディスプレイを設計・試作した。以前に本学とセイコーエプソンで共同開発した斜め色画素配置をもつ16視点用2.57インチ液晶パネルを用い、これに合わせてレンチキュラシートを設計・試作した。視点間隔1.31mmの16視点表示の実現を確認した。立体表示の解像度は256×192である。 (2) マルチプロジェクタシステムの設計・試作 複数のレンチキュラディスプレイを多重結像するマルチプロジェクタシステムを設計・試作した。上記のレンチキュラディスプレイを16台用いて多重結像することで、256視点を実現する超多眼立体ディスプレイを設計した。レンズシフトにより多重結像を行う結像レンズは、画像歪みを抑えた設計とした。平成20年度は、半分の8台のレンチキュラディスプレイを用いてマルチプロジェクションシステムを試作した。スクリーンサイズは10.3インチである。レンチキュラディスプレイによる多眼立体像の多重結像が実現できていることを確認し、本研究で提案するハイブリッド構成を用いた表示原理の有効性を示せた。 (2)立体表示用基本プログラムの作成 レンチキュラディスプレイを構成する斜め色画素配置の液晶パネルに、複数の視差画像を表示するために、ピクセルレベルで並び替えた画像を合成するソフトウエアを作成した。
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