眼精疲労のない自然な立体表示実現のためには、非常に多数の画像を同時に表示する必要がある。従来は、マルチプロジェクタ方式で128個の画像表示が実現されていた。本研究では、この方式に、以前から立体表示に用いられてきたレンチキュラ方式を組み合わせたハイブリッドな構成法を実現し、必要な構成デバイス数を劇的に削減する方法について研究を行った。本年度は、前年度に試作した256視点の超眼立体ディスプレイの表示性能の向上と、表示プログラムの高度化、および、然な立体表示条件の評価を行った。以下に具体的な内容について述べる。 (1)表示性能の高度化 レンチキュラ方式ディスプレイの視点をプロジェクションレンズの瞳内に形成するために、従来はレンチキュラレンズのレンズシフトを用いたが、これをプリズムにより実現することで、視点形成精度を向上させた。また、垂直方向のブラックマトリックスの結像を抑制するために、プロジェクションレンズにシリンドリカルレンズを付加した。 (1)表示プログラムの高度化 動画表示を実現するために、PCクラスタを構成した。また、動画表示を行うためのプログラムを開発した。 (2)自然な立体表示条件の評価 試作したディスプレイシステムに対して、調節と輻輳の矛盾がないか評価した。両眼開放型リフラクトメータを用いて、立体像観察時の人間の調節応答と瞳孔径を測定した。ディスプレイの光線の表示角度ピッチや指向性数を変えて測定を行い、被写界深度の拡大を確認した。
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