研究課題/領域番号 |
20360156
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
三村 秀典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90144055)
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研究分担者 |
青木 徹 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (10283350)
根尾 陽一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 助教 (50312674)
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キーワード | 電界放射微小電子源 / 電子ビーム集束 / ダブルゲート微小電子源 / 静電レンズ / エッチバック法 |
研究概要 |
電子引き出し電極と集束電極の2つの電極を持つダブルゲート微小電子源は、放出した電子ビームを集束できる電子源として知られている。しかし、積層構造ダブルゲート微小電子源は電子ビーム集束時に著しく放出電流が減少し、平面構造ダブルゲート微小電子源は電子ビームの集束対称性が悪いという欠点があった。そこで、積層構造ダブルゲート微小電子源と平面構造ダブルゲート微小電子源のお互いの長所を取り入れた、世界で初めてサブミクロン領域に電子ビームを絞れ、かつ集束動作時においても、電子放出量の減少が少ない新構造静電レンズ一体型電界放出微小電子源の開発を目指して研究を行った。集束電極が電子引き出し電極の周りに配置され、エッチバック法で集束電極の高さを容易に制御できる新構造静電レンズ一体型電界放出微小電子源を考案し、その製作を行った。集束電極の高さを電子引き出し電極に対して、プラス側またマイナス側にした試料を製作し、その集束特性(ビーム径とアノード電流)と集束電極の高さとの関係を詳細に調べた。その結果、集束電極の高さを電子引き出し電極に対して、プラス側もしくは、同じにした微小電子源においては、従来の積層構造ダブルゲート微小電子源と同様に、集束動作時には、電界放出電流は著しく減少した。しかし、集束電極の高さを電子引き出し電極に対して、マイナス側にした微小電子源において、集束電極に電子引き出し電極より低電圧を印加する集束動作を行っても、微小電子源のティップ先端の電界強度が減少せず、アノード電流の減少が極めて少ないことがわかった。また、電子ビームの対称性も良い。さらに、アノード電流の減少が極めて少ない理由は、電子引き出し電極が、電子引き出し電極よりも低電圧を印加する集束電極のシールド電極として働くためであるということを明らかにした。
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