研究課題
本研究は、先端システムLSIを高速化する上で必要とされている低誘電率(Low-K)膜の材料に対して、企業が進める路線とは別の材料系であるメチルBN(窒化ホウ素)膜をベースとして、実用的なLowK膜の研究開発をすることが目的である。これまでの基礎的な成膜技術をもとに、LSI配線としてのインテグレーションの段階へ進めるため、H20年度は、以下の4つ項目に対して研究成果を得た。1)メチルBN膜の電気的特性、膜の構造解析メチルBN膜中のCH_3に起因するC-H(2960cm^<-1>)のFT-IR強度は、誘電率に高い相関関係があることを明らかにした。このC-H結合の存在比率を高めることで、比誘電率(k)の低い膜が得られる。2)メチルBN膜のドライエッチングの基礎評価埋め込み配線を形成するためには、メチルBN膜をドライエッチングによって加工する必要がある。環境負荷を考慮してCF_4ガスの代わりにC_4F_8ガスを用いて膜のエッチング基礎評価を開始した。従来LSIで使用されているSioc膜と比較してメチルBN膜は、2倍以上エッチングレートが速くなることを明らかにした。3)メチルBN膜のアッシングの基礎評価LowK膜にとって、最も問題となるのが、レジスト除去時のダメージである。通常の酸素アッシングではLowK膜を酸化し、ダメージを生じる。本メチルBN膜も同じく酸素アッシングによりエッチングされることが明らかになった。4)の低温化によるアプローチ、または、メタルマスクの使用にっいて検討を進めている。4)メチルBN膜のドライエッチング装置作製および立ち上げLowKへのダメージを抑制するため、基板温度が-20℃程度まで制御できるドライエッチング、アッシング装置を製作した。装置の基本性能を確認し、低温でのメチルBN膜のエッチングレートを評価中。
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