研究課題/領域番号 |
20360163
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
榊 裕之 豊田工業大学, 工学部, 教授 (90013226)
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研究分担者 |
大森 雅登 豊田工業大学, 工学部, 助教 (70454444)
PAVEL Vitushinskiy 豊田工業大学, 工学部, PD研究員 (30545330)
秋山 芳広 豊田工業大学, 工学部, PD研究員 (60469773)
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キーワード | 量子デバイス / 量子ドット / 量子細線 / 1次元電子 / 光伝導 / 光検出器 |
研究概要 |
半導体中の量子ドットに光照射で形成した電子か正孔を捕縛させると、周辺には電子に対する斥力型か引力型のポテンシャルが生じ、その近傍を流れる電子の伝導度が減少か増加する。本年は、ドット近傍に細線型の伝導路を配した三種の素子を試作し、特性を調べ、以下の知見を得た。 まず、(1)GaAsの(111)面に近い微傾斜面上に周期20nmほどの多段原子ステップ構造を自己形成させ、これを界面に持つn-AIGaAs/InGaAs/GaAs系FETの光応答を調べた。ゲート電圧を閾値に近付け、ステップに沿ってのみ電子を流した場合、光照射によりn-AIGaAs内の局在準位が光イオン化し、伝導度が顕著に増すこと見出した。 また、(2)GaAs/n-AlGaAs系の逆HEMT構造の電子伝導路とゲート間にInAsドットとAlGaAs障壁とを埋めこんだ素子では、光照射条件により、ドットが電子を捕縛し、伝導度を減少させることを見出した。 さらに、(3)この構造をリソグラフィー法で細線化した場合、細線素子の側壁に生じる空乏層が光応答を支配し、ドットの影響が抑制されることも見出した。 また、(4)自己形成法で作るInGaAs系のドットを多段に積み上げた直径が約20nmの円柱構造を量子細線型伝導路とする素子の形成法を開発した。特に、素子の両端にn型電極を設け、その中間部分に負に帯電したアクセプタを導入して障壁を設けた素子では、光照射でできた正孔が素子中間部に集まり、障壁を下げるため、伝導度が顕著に増加し、感度の高い光検出機能を示すことを見出した。 以上の計測結果から、量子細線構造と量子ドット構造とを結合させた構造は、高感度の光検出に向いた素子構造であることが、明らかになった。
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