研究概要 |
平成21年度までに設計・動作確認を行ったSSPD/SFQインターフェース回路を、実際にSSPDと接続し、SSPDの出力信号からSFQパルスへの変換動作試験を行った。最初の実験では、SSPDは冷凍機で冷却し、SFQ回路は平成21年度に作製した高周波プローブを液体ヘリウムに浸して冷却した。SSPDとSFQ回路は広帯域な同軸ケーブルを用いて接続した。まず、SSPDとSFQ回路を接続した状態で、SFQ回路のエラーレートを調べるため、1秒間に1,000,000個の光パルスをSSPDに入力した。ここで、SSPDのエラーを無視できるレベルにするため、1パルス当たりの光子数は10^5個とした。その結果、SSPDへのバイアス電流が18μA以上で、10^<-5>以下のエラーレートでSFQパルスに変換されていることが確認された。次に、SSPDの検出効率のバイアス電流依存性を測定し、SSPD/SFQインターフェース回路を接続した場合としない場合で、ほぼ同じ検出効率曲線が得られた。ただし、SSPDとSFQ回路を3m程度の同軸ケーブルで接続しているため、SFQ回路からの戻りパルスの影響により、SSPDが通常の測定よりもラッチしやすい傾向が見られた。そこで、SSPDとSFQ回路を同じ冷凍機に実装し、10cm程度の同軸ケーブルで接続した状態で、同様の実験を試みた。その結果、SSPD/SFQインターフェース回路を接続した場合としない場合で、ほぼ同じ検出効率曲線が得られ、しかも通常測定よりもラッチしづらいことがわかった。2個のSSPDをSFQ回路に接続し、2つの出力のORをとる動作についても実証し、SFQ回路がSSPDアレーの信号処理回路として使用できることを示した。
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