研究概要 |
情報のやりとりを,いつでもどこでも,人間の自然な動きの中で通信が可能とするために,ウェアラブルコンピューティングとユビキタスネットワーク環境を統合した研究が重要であると考えられている。一般に,この分野の研究は,アプリケーション先行で議論されているものが多く,どのようにして電波が人体周辺を伝播しているかというメカニズムははっきりわかっていない。本研究では,電磁波伝送メカニズムを明らかにすることを目的とし,さらに効率よく通信可能なデバイスの構造についても明らかにする。 人体は非常に誘電率が高く,損失が大きい物質である。したがって,人体近傍に配置されたアンテナの特性は,人体が存在することにより大きな影響を受ける。そこで,まず,人体近傍で使用する通信機器として必要なシステム設計を行うべく、通信周波数の選定や通信に必要な周波数帯域の試算を行った。on-body状態にて,トップロード型のモノポールアンテナを用い,2.5MHzから2.5GHzまでの周波数における簡易人体モデルでの電界強度分布の解析を行った。その結果,100MHz以下と250MHz以上で,大きく伝搬特性が異なることが分かった。具体的には,10-100MHzでは人体の周辺に滑らかに分布すること,1-2.5GHzでは,定在波の影響で体の反対側にnullになる角度が生じることが分かった。また,低い周波数では,人体が自由空問に存在するか,大地上に立っているかは,大きな差異がないことも明らかになった。
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