研究概要 |
22年度の計画としては,主に(a)ボディエリアネットワークに最適な周波数の選定,および(b)ボディエリアネットワークに最適な電極構造の提案,としていた. このうち(a)については,歩行動作を模擬した数値人体モデルを作成し,人体モデルの各部位に装着されたウェアラブルデバイス間の信号伝送特性を算出した.その際,歩行動作を有限のフレームに分割しているため,チャネルの評価指標としては,受信電圧の平均値と標準偏差を用いた.3MHzから3GHzにかけての周波数特性を求めた結果,全般的には100MHz以下の低い周波数における標準偏差が比較的小さいことが明らかになった.これは,低い周波数では全身に滑らかに電界が分布することに起因している.また,標準偏差が高くなる周波数が,100~500MHz程度の周波数帯域に離散的に存在することが明らかになった.これは,人体の共振現象に起因すると考えられるため,通信に用いる周波数としては,このような周波数を避けた方が良いことが示唆される. 一方(b)については,初期検討として,人体に近接された平行平板型電極の内外部に蓄積される静電エネルギーおよび電界分布を求めた.その結果,電極外部のエネルギーは電極間距離に殆ど依存せず,電極サイズにのみ依存することが明らかとなった.また,電極サイズを大きくしすぎると,受信電圧が逆に低下することが明らかとなった.今後は,この結果を踏まえ,送受信間チャネルのメカニズムを明らかにし,電極構造の最適化につなげる予定である.
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