研究概要 |
平成20年度は研究計画にしたがって(1)実験データ評価の基礎となる特性を計算機シミュレーションによって把握するための設備整備,及び(2)フィールド実験準備の完成,を行った.本研究の目的はCooperative無線中継の伝送特性評価をより現実的に行うためにフィールド実験を行うことである.本年度は(1)として計算機上に建物データを用意し,その中で電波の伝搬をシミュレートするレイランチング手法(レイトレースの一種)により得た伝搬路特性を用いて特性を評価するレイランチングによるシミュレーション評価を実施し,国際会議で発表を行った.この成果は当該国際会議において表彰を受けている.また,当初の計画の(2)についても,装置の準備と調整作業を行い,電波出力を大幅に低減した状態での室内伝搬環境においてほぼ安定した動作を確認した.現在,この動作のデータ取得準備中であるが,このような環境においてCooperativeマルチホップ中継装置(合計4台の送受信機)が実際に電波を発射し,30分以上の長時間にわたり誤りなく中継動作を行うことを確認している.ただし,室内伝搬環境であるため室内において人が動く等するとまれに伝送誤りが生じているが,これは正しい動作である.
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