研究概要 |
本研究の目的は,RF(Radio Frequency)部,ベースバンド部およびメディアアクセスコントロール部(MAC:Media Access Control)を総合的に制御することで,消費電力を大幅に削減した無線ノードを実現することである.携帯電話や携帯情報端末に加え,さまざまな情報をセンサーによって収集し,無線ノードを通じて集約する無線センサーネットワークが検討されている.これらの無線センサーネットワークノードや携帯機器はバッテリサイズの制限から消費電力が極めて小さく制限されている. そこで,本研究では,無線インタフェースのベースバンド信号処理,RF送受信モジュールのアナログ回路の消費電力を検討し,無線伝搬路の状況や通信トラフィックの状況,要求される通信品質(QoS:Quality of Service)に応じて各ブロックを適応制御することでインタフェース全体の消費電力を削減する手法について検討を行った. 平成20年度は,通信ノードの基本的な設計を行い,ベースバンド信号処理部のビット幅の最適化および周辺環境に応じた適用制御アルゴリズムを提案した.その結果,高速に伝搬環境が変動するマルチパスフェージング環境において,受信電力の削減が大幅に可能となることを明らかにした.このアルゴリズムを地上ディジタルテレビ放送の携帯受信機へ適用し,その消費電力の測定を行い,大幅な消費電力削減効果が見込めることを明らかにした. さらに,通信ノードが中継を行う時の消費電力を削減するため,中継器送信電力の適応制御について検討を行い,効果的に,送信電力が削減可能であることを示した.
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