研究課題/領域番号 |
20360173
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 啓二 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (80108670)
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研究分担者 |
金谷 晴一 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (40271077)
R.K ポカレル 九州大学, 日本エジプト科学技術連携センター, 教授 (60398568)
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キーワード | 無線通信 / RF CMOSフロントエンド / 超小型アンテナ / 低雑音増幅器 / 圧制御発信器 |
研究概要 |
携帯電話、無線LAN、衛星放送などの爆発的普及、ブロードバンド化の急速な進展に伴い、高速無線データ通信のニーズは急拡大している。これら全ての無線通信デバイスにおける問題点として、1.アンテナやバンドバスフィルタなどの受動素子が、LSIを含めたデバイス面積の大部分を占めるため小型化が難しいこと2.LSI上の送受信アンプやミキサ、発振器(VCO)と結合する際、高性能化のためインピーダンス整合が不可欠であるが、LSIチップ内にスパイラルインダクタを用いるため、面積縮小による小型化や高周波化が困難であるという問題が顕在化している。これらの目的を解決するための本年度の研究成果について、以下に述べる。 前年度までに設計した広帯域アンテナの裏面への遮蔽のための設計を行った。また、実装する送受信RFフロントエンドの設計もあわせて行った。 具体的には、金属筐体の影響を電波的に遮蔽するためや、アンテナ裏面にLSIチップを実装可能とするために、裏面遮蔽特性を微小アンテナに追加した。パッチアンテナでは、基板厚を薄くすると放射抵抗は著しく小さくなり放射しなくなる。しかしながら、表面グランドの形状を半波長あるいは1/4波長程度とすると、表面基板上の共振により放射し、一方裏面はグランドのため電気的に遮蔽できることを見出した。 さらに、高周波三次元実装基板の表面にアンテナを配置し、裏面には第一段階として、市販の無線通信用ICを実装した。三次元実装したアンテナー体型小型トランシーバにおいて、アンテナを多層基板の最上位層に配置することで、アンテナ部の面積がまったく必要のない小型デバイスを実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度提案した設計公式が、実際の構造を非常に良く表していたため、予備的検討と、試作との差異が極めて少なかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
小型平面アンテナおよび、トランシーバを設計・試作し、現有するベクトルネットワークアナライザ・デジタルオシロ及びスペクトラムアナライザを駆使して周波数軸特性はもちろん時間軸特性も合わせて総合評価する。また、本大学所有の電波暗室を用いて、通信距離の計測を行い、擬似的なフィールド試験とする。得られた研究成果をまとめて学会や学術論文誌に発表する。
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