研究概要 |
次世代無線通信方式として注目を集めるOFDM(直交周波数分割多元)方式は,ドップラー効果による周波数のずれに対し脆弱な点を課題として抱えていた.研究代表者らは,サブキャリア間の直交性を必要としない擬似直交マルチキャリアCDMAを提案し,さらにこの結果を発展させたユーザ間の時間・周波数の同期誤差に強い耐性をもつGabor-Division(GD)-CDMAを提案した. GD-CDMAシステムは次の3つの特徴を兼ね備えている.(1)負のマルコフ符号を用いることでユーザ間干渉を独立同分布(i. i. d.)符号に比べ最大9/25まで削減可能(2)時間と周波数のオフセットを同時に推定可能な2次元同期捕捉が可能.(3)時間領域,周波数領域, 2種類のマルコフ符号を使って信号帯域を同時拡散する.符号のマルコフ性により平坦な周波数スペクトルが得られる.以上の結果から, GD-CDMAは, OFDM方式で問題であったドップラー周波数シフト対策が可能であることが示された.周波数の同期保持にはフィードバック構造のPhase Locked Loop(PLL)回路がもっぱら用いられるが,超広帯域通信での応用を見据え、研究代表者らはこれとは異なり、ニュートン法に基づく到来波から周波数と位相を直接同定する手法を提案した。
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