研究概要 |
本研究の目的は,音響検査の高度自動化技術の改善を図り,音響検査における音響情報のみならず目視検査における画像情報を用いた視聴覚融合による官能検査の高度自動化を推進し,そこで開発された検査技術を紙幣識別機に実装化してその性能評価を行うとともに,その技術を有価証券や小切手などの真偽判定や手書き認証文字の真偽判定へ応用し,事務処理の自動化および高機能化を図ることである. 今年度は,1個のマイクロフォンで計測された音響データから音響信号を精度良く抽出する手法と低解像度画像から高解像度画像を構成する画像ハルシネーションの高速化手法を提案する.また,提案する画像ハルシネーション法を用いて,紙幣の金種識別と真偽判定のために必要となる適切なサイズの高精細画像に拡大し,拡大画像の復元状況を評価した。 まず,音響検査精度の更なる向上を図るために,音響信号の抽出とその信号の特徴量の抽出を適応信号処理と遺伝的アルゴリズムで行う新たな手法を提案する.この適応信号処理法では,音響計測データをウェーブレット変換し,多重解像度分解を行って音響信号を周波数レベルごとに分解する.さらに,分解レベルごとに適応デジタルフィルタを用いてノイズを除去し,各分解レベルで得られた信号成分を合成して,元の音響信号を抽出した. つぎに,低周波画像の局所領域のエッジの方向角θの平均と分散を用いて,対応する高解像度画像のパッチを検索する手法を提案し,紙幣識別へ応用した.
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