研究概要 |
本年度は、これまでに開発してきた進化論的計算手法である遺伝的ネットワークプログラミング(Genetic Network Programming, GNP)と本研究課題で提案する遺伝的関係アルゴリズム(Genetic Relation Algorithm, GRA)を融合する方式の基礎検討を行った。さらにデータマイニングや株式売買モデルへ応用し、その性能評価を行った。 GNPは、膨大なデータベースの中から統計学的指標を使用して多くの興味深い相関ルールを抽出することが可能であるが、その中からさらに重要な相関ルールを明確にすることが重要である。したがって、状態(ノード)間の相関の強さや距離を考慮したルール抽出が可能なGRAを使用することによって、より重要な相関ルールの抽出が可能になった。 研究方法 主に有向グラフGRAと無向グラフGRAに関する検討を行い、GNPとの融合方式を開発すると共に、データマイニング、株式市場でのポートフォリオ構築へ応用を行った。 有向グラフGRAは、状態間の相関ルール(前件部→後件部)が確信度を持つ場合に有効であり、無向グラフGRAは、状態間に距離を定義できる場合に有効である。 研究成果 GNPとGRAの融合方式をデータマイニングに応用し、分類問題を用いて性能評価を行ったところ、GNPのみを利用したデータマイニングより精度が向上することを明らかにした。 ポートフォリオ構築への応用では、1つの銘柄を1つのノードに対応させ、銘柄間の相関係数を接続の強さと定義することによって、より利益率の高い銘柄選択が可能になる手法を提案した。 また、データベースに存在する属性の中から、ルール抽出に有効な属性を選択・蓄積するAttribute AGcumulation Mechanismを開発し、GNPによる交通流予測に応用し、高い予測精度を実現した。
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