研究概要 |
最終年度である22年度は,緑膿菌の遺伝子ネットワークを対象として,実験データをもとにこれまで導出してきた数理モデルをもとに開発した制御手法を実験レベルも含めて再検証し,かつ,これまでの一連の研究を総括した.具体的には以下のとおりである. (i)緑脳菌の数理モデルに基づく制御手法の開発:昨年度開発した数理モデルに基づく制御手法を再度,実用的な観点から再度検討した.その際,数理モデルの妥当性に関する関連研究として数理ネットワークモデルの低次元化に関する研究もおこない,ネットワークモデルに関する簡略化の知見をさらに深めた. (ii)実験レベルでの検証:(i)で導出した投与プロファイルをもとに,緑膿菌の遺伝子ネットワーク制御に効果的な薬剤を探索するため,緑膿菌のバイオフィルム形成能を指標として様々な薬剤を用いたスクリーニングを行なった.その結果,ある種のアシル化シクロペンチルアミド誘導体の投与によりバイオフィルム形成量が低下することが明らかになった.本薬剤を用いることにより実験レベルでの検証が可能となった. (iii)遺伝子ネットワークのためのモデリング・解析・設計手法のまとめ:これまでの3年間に得られた結果を整理し,遺伝子ネットワークのための区分的アファインモデリング手法,そのモデルを用いた安定性解析手法,そして,少ない投薬量で高い効果が得られる最適な薬剤投与プロファイルを求めるための制御手法として,Philosophical Transactions Aの論文誌などにまとめた.
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