研究概要 |
複数微細ひび割れ型繊維補強モルタル(HPFRCC)のひび割れ閉塞技術等を確立するとともに,構造物へのHPFRCCの利用の国際展開を行った。 HPFRCCの繊維混入量を1.5%から0.75%に減らした場合や繊維の弾性係数を2/3程度に小さくした場合には,ひび割れ幅が若干大きくなり終局引張ひずみが小さくなるものの,複数微細ひび割れ挙動が認められた。 HPFRCCのひび割れ幅は0.02〜0.05mm程度であり止水性に優れているが,さらに止水性を高めるためには,0.02mm程度のひび割れに対してはHPFRCC表面への撥水材の塗布が有効であり,0.05mm程度のひび割れに対しては,ひび割れ内ヘアルギン酸ナトリウムなどのゲル状に変わる物質を充填することが有効であった。 HPFRCCならびにHPFRCCを普通コンクリート(NC)に積層した供試体に緩速凍結融解試験を実施した。凍結防止剤の種類にかかわらず,HPFRCCは優れた耐スケーリング性と耐塩分浸透性を示した。HPFRCCを積層しても,下層のNC層への塩分透過抑制効果は認められなかった。コンクリート中の鉄筋の腐食には,表面の補修層ではなく,鉄筋を囲む層のひび割れ幅が小さいことが重要であった。 土木学会から発刊されているHPFRCCを含む3種類の繊維補強コンクリートに対する設計施工指針案の内容を比較して国際会議において発表した。HPFRCCに関するRILEMの技術委員会(TCHFC)を,平成20年10月に岐阜で開催した。海外から研究者を招聘して,HPFRCCに関する共同研究を行った。
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