研究概要 |
複数微細ひび割れ型繊維補強モルタル(HPFRCC)のひび割れ閉塞技術等を確立するとともに,構造物へのHPFRCCの利用の国際展開を行った。 ひび割れを導入した普通モルタルとHPFRCC製の円筒供試体を用い,ひび割れ止水用補修材料の性能評価方法を提案した。止水用補修材料として,珪酸塩系表面含浸材,シラン系表面含浸材,アルギン酸ナトリウム溶液および粘土溶液の4種類を用い,提案した透水時間比による評価の有効性を確認した。 RCはり供試体に塩水散布を行った後,破面に硝酸銀発色試験を行うとともに供試体内部の鉄筋の腐食度の調査を行った。補修材としてのHPFRCCの鉄筋防食性能の検討を行った。HPFRCCは,ポリマーセメントモルタルPCMに比べ,優れた耐塩分浸透性を示した。鉄筋をHPFRCC内に配置した場合には,HPFRCCの鉄筋防食性が顕著であった。 アルカリシリカ反応(ASR)によるひび割れが生じた重力式コンクリート擁壁の修景を主目的として,HPFRCCの吹付けによる表面補修の試験施工を2003年に行った。施工後,1,3,5年を経過した時点で,ひび割れ状況を継続的に観察した。その結果,5年後においても,ひび割れ幅はほぼ0.1mm以下に抑制されており,当初期待したHPFRCCの効果が確認された。 長大なトンネルの覆工コンクリートに,鋼繊維補強コンクリートとHPFRCCの多層吹付けとする手法を適用し,鋼製型枠を用いる従来の手法に比べ,工程の短縮を実現した。南アフリカで開催されたHPFRCCに関するRILEMの技術委員会(TCHFC)に出席し,研究の成果を委員会活動に反映させた。
|