研究概要 |
複数微細ひび割れ型繊維補強モルタル(HPFRCC)のひび割れ閉塞技術等を確立するとともに,構造物へのHPFRCCの利用の促進のための研究とその国際展開を行った。 HPFRCCの引張性能と耐凍害性能を確保するうえでは,微細な気泡が10~15%程度含まれていることが望ましい。吹付けによりHPFRCCを施工した場合には,AE剤により導入した微細な気泡の大部分は,吹き付け時に消失するという課題がある。AE剤による微細な気泡に代えて,寸法が同程度の中空のシラスバルーンを用いることを提案した。シラスバルーンを用いた吹付け用HPFRCCの引張試験と凍結融解試験を行い,この手法の有効性を確認した。 HPFRCCは硬化後の収縮量が大きいため,HPFRCCに鉄筋を配置してRC部材として用いた場合,HPFRCCの収縮が鉄筋により拘束され初期ひび割れ強度が低くなるという課題がある。鉄筋を配置したHPFRCC部材のひび割れ荷重を高めるため,膨張材を添加(0~10%)した膨張型HPFRCCを用いることを提案した。はりの打設直後から鉄筋のひずみを計測してケミカルプレストレスを評価し,曲げ載荷試験を行い,ひび割れ性状を観察し,膨張材添加の有効性を確認した。 力を受けると大変形し,エネルギーを吸収し,局部的な欠落ちが生じにくいというHPFRCCの特徴を活かして,地震時や衝突時に変形空間やエネルギーを吸収できるコンクリート製の衝撃吸収ブロックを提案した。変形空間を吸収しやすいように形状を工夫したブロックをHPFRCCで作製し,載荷試験を行った。衝撃吸収ブロックを橋台に配置して橋梁の桁遊間を縮小することを目的とし,大規模地震の際に起こりうる主桁-橋台胸壁の衝突作用の緩和効果と,地震後の復旧性の向上の程度を明らかにした。
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