研究課題/領域番号 |
20360191
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河野 広隆 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (80344018)
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研究分担者 |
服部 篤史 京都大学, 工学部, 准教授 (30243067)
大島 義信 京都大学, 工学部, 准教授 (10362451)
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キーワード | コンクリート構造物 / 耐久性 / ひび割れ / 自己治癒 / ひび割れ抑制対策 |
研究概要 |
コンクリート構造物の長期耐久性を確保するためには、ひび割れが生じないことが理想である。しかし現実にはひび割れを皆無にすることは難しく、ひび割れの影響を技術的・経済的に無理のない範囲で制御することが必要である。この研究では、ひび割れが構造物の耐久性に与える影響について、ひび割れ幅だけでなく、構造物の置かれている環境条件やそこでのひび割れの自己治癒効果なども考慮に入れ、長期的なリスク評価を行う。さらに、ひび割れを防止・抑制する対策については、既に種々のものが提案されているが、コストとその対策によって期待される耐久性向上についてのB/C評価を行うことでひび割れ抑制対策の効果を定量的に解明する。これらの結果をもとに、ひび割れ対策実施の判定のための客観的指標を提案しようとするものである。 平成22年度はまず、過去2年間実施してきたひび割れの自己治癒に関する実験の継続と分析を行った。その結果、セメント種類、ひび割れ幅、コンクリート配合、水分供給環境などの影響を明らかにした。新設構造物におけるひび割れ抑制対策とその効果に関する調査では、昨年度、橋梁高欄で最近とみに採用例の多いスリットの影響について解析を行った。その結果、通常は高欄の設置によって鋼げたに生じる引張応力は大きく低減されるのに、スリットを入れることによって、高欄がないときより、かえって大きな応力が生じ、橋梁本体に悪影響を及ぼす場合があることを明らかにした。この結果は現場での対応に大きな影響を与える可能性があるので、本年は主桁間の荷重分配を考慮して横げたを有する実橋梁に近いモデルで詳細な解析を行った。この結果、横げたが存在しても、やはり同様の傾向があることを確認した。
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