研究課題/領域番号 |
20360195
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横田 弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50344312)
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研究分担者 |
岩波 光保 (独)港湾空港技術研究所, 構造研究チーム, チームリーダー (90359232)
加藤 絵万 (独)港湾空港技術研究所, LCM研究センター, 主任研究官 (90371765)
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キーワード | 塩害 / 鉄筋コンクリート / 点検診断 / 非一様性 / 構造性能 / 暴露環境 / 予測 / 信頼性 |
研究概要 |
平成21年度は、塩害が生じるRC構造物の寿命予測手法の精度向上を目的に、塩害に影響を及ぼす各種不確定要因(使用材料の品質・暴露環境)に着目し、これらが寿命予測に与える影響を定量化したとともに、劣化部材の構造性能評価に取り入れる手法を検討した。約30年供用された桟橋上部工から切り出した床版コンクリート中の詳細調査を実施し、劣化性状の非一様性、ばらつきを定量化し、その要因について検討した。その結果、コンクリートの塩化物イオン浸透性状は、同一部材であっても局所的な曝露環境や材料物性の変動等によって大きくばらつくことを、数値モデルにより表現した。このばらつきの中で精度の高い予測を実現するために必要なコアのサンプリング数の設定方法を提示し、1本当たりのコアの信頼性に関する考察を行った。この結果は、実務における詳細点検調査の実施の際に有用な指標となり得るものである。また、当該劣化床版から鉄筋を取り出し、腐食状況の詳細な測定・分析を行った。その結果明らかになった鉄筋残存断面積のばらつきから解析モデルを作成し、非線形数値解析を通して、腐食量の分布(場所的な偏り)が部材の構造性能に与える影響を検討した。さらに、実海洋環境に約8年間曝露した高性能軽量RC部材の劣化性状と各種性能について調査を行い、材料的な要因が劣化のばらつきに及ぼす影響について考察し、論文等にとりまとめた。これら本研究の途中段階の成果等を踏まえ、海洋環境で塩害を受けやすい桟橋コンクリート上部工を対象に、その寿命予測と性能評価のための計算ツールを作成し、桟橋のライフサイクルマネジメントシステムとして提案した。
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