研究概要 |
鋼トラス橋について,斜材などが局所破壊した際の橋全体の構造冗長性や力学挙動,および橋全体・部材局所モードを含めた振動特性を解明すると同時に,構造健全度を供用時微動モニタリングにより評価する方法を確立することを目的とした.平成20年度の研究概要は以下のとおりである. 1.鋼トラス橋の有限要素解析を行い,支持条件,格点部の接合条件,主構各部材・床版のモデル化が力学挙動にどのように影響するかを解明し,鋼トラス橋の解析モデルのあり方を検討した. 2.上弦材,下弦材,斜材の破断を仮定し,死荷重+活荷重に対する線形解析を実施して,鋼トラス橋全体の構造冗長性を定量的に解明した.また,部材の損傷進展,破断の連鎖などによる橋全体の崩壊挙動と耐荷力を把握するため,複合非線形FEM解析について予備検討を行った. 3.鋼トラス橋である最上川橋を対象として固有振動解析を行い,全体モード,部材の局所モード,および部材間の内部共振連成などを詳細に解明するとともに,部材補強を仮定した固有振動解析も実施して,局部剛性変化がもたらす固有振動特性の変化についても定量的に解明している.さらに,車両走行を模擬したシミュレーションの予備解析を行った. 4.最上川橋の供用時微動計測,およびインパルスハンマーによる斜材打撃試験を行って,トラス橋の振動特性研究の成果を睨みつつ,振動センサーの種類と数,最適配置について検討した. 5.最上川橋において実測した供用時微動データに対して,高精度モード同定法ERAを,相関関数法,RD法とともに適用し,時不変系として同定したモード減衰値の安定性についてStabilization Diagramを求めて詳細に検討した.
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