研究概要 |
本研究の目的は,本学所有の大型環境試験装置により実物大RC床版供試体に塩害と凍害,およびこれらの複合作用を与え,劣化した床版の疲労耐久性をはじめとする構造性能を評価することである. 以上の目的に鑑み,平成20年度は先ず,大型環境試験装置を用いて実物大RC床版に対する劣化促進試験方法の考案を行った.すなわち, RC床版の実物大供試体を作製し,大型環境試験装置によりこれらの供試体に+20℃から-20℃までの繰返し凍結融解作用を与え,各サイクルにおける供試体の劣化度を,レーザー変位計により測定する方法を考案した.その結果,供試体表面をレーザー変位計が移動することにより,その表面形状を精度良く測定することが可能であり,これにより凍害によるスケーリング量を定量評価可能であることを明らかにした.一方,塩害,凍害,およびこれらの複合作用により劣化したRC床版の疲労耐久性を評価するため,平成20年度は,内在塩分により劣化促進させた実物大RC床版供試体を用いて輪荷重走行試験を行い,その試験方法を確立した.そして,健全な供試体との比較により,塩害がRC床版の疲労耐久性に及ぼす影響を究明した. 以上のことから,平成20年度の研究により,塩害,凍害,及びこれらの複合作用を受けたRC床版の構造性能を評価することが可能であるとの見通しを得た.平成21年度以降は本試験方法に従い,塩害,凍害,およびこれらの複合作用がRC床版の疲労耐久性をはじめとする構造性能に及ぼす影響を究明する予定である.
|