研究概要 |
平成20年度は, コンクリートが生成する高pH環境を模擬することを目的に, 供試体に供給する水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を使用し, ベントナイトA(クニミネ工業製・クニゲルV1)を中心とした数種類のベントナイトの膨潤圧・膨潤変形特性について, 実験データの取得を行った. 使用した水酸化ナトリウム水溶液のモル濃度は, 0.001mol/L(pH11相当), 0.01mol/L(pH12相当), 0.10mol/L(pH13相当), 1.00mol/L(pH14相当)の4種類とした. る. その結果, pH13以下の高アルカリ環境においては, ベントナイトの膨潤圧・膨潤変形特性に対し影響が極めて小さいという結果が得られた. 一方, pH14の条件では, 膨潤圧および膨潤変形とも, 低下傾向にあることが認められた. さらに, 高アルカリ環境によるベントナイトの膨潤圧・膨潤変形特性に及ぼす影響を明らかにするために, 実験後の供試体に対し, メチレンブルー吸着量試験およびX線回折分析を行った. その結果, ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトの溶出は生じてなく, 実験後の供試体の鉱物組成に変化は認められなかった. また, 実験後の供給水溶液の分析として, シリカ濃度の測定も行った. 今回の結果では, シリカの溶出は石英からである可能性が高く, モンモリロナイトは溶出していないと考えられた.
|