研究概要 |
平成21年度は,余裕深度処分施設を想定して,実際に緩衝材として利用が有力視されている粒状ベントナイトGX(クニミネ工業製・クニゲルGX)に対して,コンクリート共存下を念頭においた膨潤圧・膨潤変形特性試験を行った.コンクリートとの共存を想定した高pH環境を模擬することを目的に,供試体に供給する水溶液としてNaOH溶液,KOH溶液およびCa(OH)_2溶液を用い,高塩濃度溶液としてNaCl溶液およびCaCl_2溶液を用いた.供給溶液の濃度0.02M(pH12.5程度)の溶液を用いた最大膨潤圧と初期乾燥密度の関係は,蒸留水を用いた最大膨潤圧と比べ,全ての種類の供給溶液においてほぼ同程度発生している.一方,0.1M(pH13程度)の供給溶液の影響を受け,最大膨潤圧は全ての種類の供給溶液において100~300kPa程度の低下が確認できた.さらに,1.0M(pH14程度)の供給溶液を用いた場合,全ての条件において最大膨潤圧の著しい低下が認められた.以上を総括すると,本実験条件において,0.02Mから0.1Mの供給溶液を用いた場合,溶液の種類に依存せず,全ての溶液において,最大膨潤圧の低下しない,もしくは僅かな低下が認められた.しかし,1.0Mの供給溶液を用いた場合,最大膨潤圧は著しく低下すると共に,低下量は溶液の種類により異なる結果となった.膨潤変形特性については,0.1M(pH13程度)の供給溶液を用いた場合,顕著な最大膨潤率の低下が認められた.膨潤圧実験と比べて異なった膨潤特性を示した理由としては,膨潤変形実験は,鉛直圧19.6kPaと比較的低鉛直圧な条件で行っているため,膨潤変形に伴う鉛直変位量が大きく,供給溶液の吸水量が大きいため,影響を受けやすくなったと考えられる.また,膨潤圧特性と同様に,0.02M(pH12.5程度)の供給溶液が及ぼす最大膨潤率への影響は極めて小さい.したがって,コンクリート溶脱水の濃度は0.02M(pH12.5程度)の場合,緩衝材としての機能を維持できると言える.また,2価の陽イオンを持つCa(OH)_2溶液の影響は確認できない.CaCl_2溶液の影響も,NaOH溶液と同程度である.
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