研究課題
地震などの災害を受けた補強土構造物の災害後の残存耐力を検討し、災害後の被災度を的確に評価し、補修・改修の必要性の有無あるいは造り替えの判断と工法の選定を適正に行い、土構造物を長期間に亘り安全かつ経済的に維持することに資することを目的とし平成20年度は以下のような項目を中心に研究を行った。a)補強土構造物の被災事例を検証する事で、危険なモードとは何かを明らかにする。b)被災構造物の性能評価に必要な、補強材と盛土材との被災後の相互作用を明らかにする。a)については、被害を類型化し、危険な被災モードとはどういうものか検討する。また、各被災補強土構造物について、事前・緊急・応急・恒久の災害対応事例を収集し分析した。b)については、ジオグリッドの土中引抜き試験は、ジオグリッドの摩擦特性を求めるために実施される試験であり、設計において捕強土構造物の安定性を評価するのに用いられる。地震などによる被災を想定し、ある程度引抜いたところで一旦除荷し、再度引抜を行った。被災の程度を勘案して、初期引抜きの程度は色々と変えて実施し、以下の結果を得た。1)ジオグリッドの形状・上載圧に関わらず、ピーク荷重の半分の点で除荷・再載荷しても影響は少ない。2)ピーク荷重、残留強度付近においては、除荷・再載荷により引抜き抵抗は減少する。被災した補強土構造物の安定性を検討する際には、ピーク荷重に達するような外力が作用した場合、補強効果が減少するということを考慮する必要がある。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
ジオシンセティックス技術情報 24(1)
ページ: 1-4
ジオシンセティックス論文集 23
ページ: 37-44