研究概要 |
ガスハイドレート(GH)層の力学特性を調べる孔底三軸試験方法の要素技術の確立を目指して、以下に示す3項目の研究開発を行った。 1、ひずみゲージを予め組み込んだゴム膜について、ゴム膜の堅牢性や耐圧性、ケーブルの配置、構造の複雑さ、施工性などの観点からその形状と固定方法を検討した。その結果、二重にした円筒ゴムによりひずみゲージから出るケーブルを挟み、両端を固定リングでキャップ及びセルの下端に固定する方法を採用した。また、泥水中においてもひずみゲージを試験体に確実に貼付できる接着材と圧着方法を確立した。 2、直径100mmの試験体を対象とした孔底三軸圧縮試験に用いるセルを作製し、室内で人工岩に対して模型実験を実施した。その結果、多段階載荷方式の三軸圧縮試験が実施可能であることを確認すると共に、セルの挿入やひずみゲージの圧着などの作業性について課題を抽出した。また、せん断強さが数MPa~十数MPaの軟岩レベルの試験体を対象に,拘束圧3~8MPaの範囲でボーリングの孔壁に反力をとって軸圧縮が可能な載荷システムを検討した。 3、平成20年度に検討した多段階載荷方式の三軸圧縮試験の最適な方法について、繰返し載荷による損傷をモデル化することが可能なMLDモデル(多段階載荷損傷モデル)を用いた数値実験を行って各種の岩石に対する適用性を調べた。その結果,軟岩~中硬岩については、粘着力をやや過大評価し、逆にせん断抵抗角をやや過小評価するが、その差は10%程度の範囲に収まることを明らかにした。しかし、硬岩については、その差異は20%を超える可能性があることも示した。
|