研究概要 |
本申請研究は、自然由来の重金属を含む建設発生土(岩石・土壌)による環境影響を適切に評価、管理するための室内評価試験、現場迅速評価試験から構成される環境影響試験法の確立、および封じ込め工法を用いた盛土・埋土としての有効利用技術の確立を的とする。具体の研究テーマは,(1)環境条件の変化に伴う化学特性の変化と重金属の溶出特性の評価手法の検討、(2)封じ込め盛土に適用する遮水工材料の酸性水に対する耐久性と重金属の移動抑制機能の評価、(3)促進評価試験との比較による現場迅速評価試験方法の妥当性の検証、の3つの観点に焦点を絞り、実験的研究に取り組んでいる。平成20年度は(1)、(2)を中心に検討を行い、得られた成果は以下の通りである。 (1)は,従来から自然由来重金属を含む岩石・土壌を対象に実施されている重金属類の全含有量分析、過酸化水素水による酸化と硫化物量の測定、岩石・土壌からの実際の重金属の溶出量を相互に比較することにより、簡便な試験を組み合わせた室内環境影響評価試験法を確立するための基礎的データの収集を行った。 (2)については,工業製品の粘土ライナー(ジオシンセティッククレイライナー)を対象とした透水試験を長期に渡って実施し、自然由来の重金属を含む建設発生土から頻繁に発生する酸性水が遮水工材料の透水係数をはじめとする物理化学特性に及ぼす影響を実験的に評価した。その結果、pH=3.0程度の酸性水であれば粘土ライナーの保水性、層厚、透水係数に有意な影響はなく、長期に渡って遮水性能が維持されることが明らかになった。
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