研究課題
気象庁気象研究所によって提供される温暖化実験気象水文データ(現気候:1979年から2004年、近未来:2015年から2039年、将来:2075年から2099年の合計75年間)を用いて、日本の全河川流域を対象とする河川流量予測計算を実施し、温暖化時の流量変化の可能性を空間的に示し、それをもとに治水・利水に対して、将来、注意を要する河川流域を検出し、治水安全度・利水安全度を維持するための対応的な方策を例示することを目的としている。平成21年度は、平成20年度に開発した日本全国分布型流出モデルを用い、日本全域の河川流域を対象として、約1km分解能で75年分の流出計算を実施した。用いた温暖化推計情報は、気象研究所から提供された水文気象データのうち、気象研究所の気象・水文モデルが出力する空間分解能20km、時間分解能1日の表面流出量と地中流出量である。現在気候、近未来、将来の合計75年間、日本全流域を対象とする河川流量計算を実施し、その計算結果を用いて、日本全国の河川流況の変化を3期間ごとに整理して、3期間の流況の変化を約4kmの空間分解能で統計的に分析した。分析した水文量は、年最大流量や渇水流量の平均値および分散の変化、さまざまな再現期間の年最大流量や渇水流量の変化などである。それらの分析結果を地図上にまとめ、日本全河川流域の流況の変化可能性を示す空間分布図を作成した。河川流況の変化には大きな地域性があり、将来、洪水リスクの高まる可能性のある流域、渇水リスクの高まる可能性のある流域を空間的に示すことができるようになった。
すべて 2010 2009
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