研究概要 |
本年度の研究目的は, 特定財源がある高速道と特定財源がない公共交通の個別のプロジェクトを整備する場合を対象にその個別プロジェクトの効率的な財源調達法を提示することである。本年度の成果は以下のとおりである。 第1に, 高速道収入と燃料税が当該高速道投資額と一般道投資額の和に等しいという財政制約下での効用(准線形を仮定した)を最大にする料金水準を求める問題として定式化した。その結果として最適な補助率・利用者負担率を求めることができることも示した。 第2に, 上記制約付き最大問題を, 制約のない総余剰(=純便益)最大化問題に置き換えることに成功した。後者は, 消費者余剰+燃料税の限界費用X補助という簡単な式になることを示した。 第3に, 最適な料金水準は, 料金の限界費用が調達先の財源の限界費用に等しくなる水準であるということを示し. 需要の弾力性や特定財源の限界費用の関数として明示化することに成功した。 第4に, 燃料税の限界費用を求める公式を示し, 実際に燃料消費指標をもちいて計算し, 現行の税水準では1.1-1.2であることを示した。また, 燃料税水準が高いほど価格弾性値が高いほど燃料税の限界費用は大きくなることがわかった。 第5に, 実際の数個の高速道路路線における現行の料金水準の妥当性を検討した。その結果, 価格弾性値が低い(高い)かつ交通量の大きい(少ない)路線では, 現行の料金水準よりも高く(低く)し, 受益者負担率を大きく(小さく), 補助を小さく(大きく)することが望ましいことを示した。 第6に, 地下鉄に対しても同様な分析・試算を行った。ただし, 財源としては所得税と消費税を想定した。
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